スプコンまで残り…

1日ですね!!
部日誌の指名がされた当初は20日だったはずなんですが、遅くなってしまいすみません;;
おはようございます。Vaの大牟田です。
私が最後に部日誌を書いたのは幹部引退直前だったので、約1年半ぶりみたいですね。投稿の仕方がわからなくてちょっと焦りました笑

さて、私が担当するのは2/7(金)の部日誌です。次の日には雪が降って大変でしたね。
その日はセク練で、弦セクはドナウ→軽騎兵→パイレーツ→仮面→魔法と盛りだくさんなスケジュールでした。
通い前最後のセク練ということで、通いでやる課題探しをしつつも、仕上がってきたと思えるところがだんだん増えていっているなーと思いました。
個人的には、翌朝が研究室のセミナー発表でちょっと気が気じゃなかったですが、珍しく最初から部活に出られてとても嬉しかった日でした!
3年までは部活で先輩方を待っていたのにいつの間にか自分が出迎えてもらう側になっていて、暖かく迎えてくれることの嬉しさをしみじみと実感しています。本当にありがとうございます^^

振り返ると、1年生の時に薬学新歓で声をかけていただいて、部活に遊びに行ったその日に入部を決めて、ビオラパートを筆頭に先輩方に本当に大丈夫かと何度も確認されたのがもう4年前になろうとしているなんて、なんだか不思議な気分です笑
あの時も迷いはなかったですが、それは今も変わりません。
部活を楽しめる時間は思ったよりも短いので、みなさんも色々なことに挑戦しつつ、ぜひ楽しんでいってください。

さてさて、最後の部日誌ということでちょっと変わったことをしようと思いまして、追記の方に短編ですが書き下ろしの小話を載せさせていただきました。私一応、高校・大学と文芸部というのに所属していたのです、はい。
拙いですが、音楽部のことを考えながら書いてみたので、もしお時間があれば読んでいただけると嬉しいです。

それでは、今までありがとうございました! 残りわずかですが、最後までどうぞよろしくお願いします。

Va 大牟田舞
 『歌わない竪琴』

 あるところに、一人の竪琴弾きがおりました。
 竪琴弾きはごく普通の気立てのよい少女でありましたが、竪琴を奏でることに関しては天賦の才を持っておりました。
 少女が竪琴を奏でると、周りの木々や鳥たちもそれに合わせるようにして歌うのです。
 少女の周囲はその才能に色めき立ちましたが、少女自身は何でもないことだと笑います。
 都へ出た方がいいという周囲の勧めをやんわりと辞して、生まれ育った村で彼女は歌い続けたのでした。
 
 少女はやがて大人になり、幼馴染と結婚して一人の男の子を産みました。
 男の子をあやす子守唄もそれはそれは素晴らしく、自然の音と調和して、室内にいるのにさながら森の中にいるようでした。
 そんな中で育った男の子は、ごく自然な流れで竪琴に興味を持つようになりました。
 「きっとお母さんの竪琴は魔法の竪琴なんだ」
 やんちゃ盛りの頃にそう思った少年は、母の目を盗んで母の竪琴を弾こうとしました。
 しかしいくら弦を弾いてみても、音は鳴りません。頑ななまでに押し黙っています。
 泣きべそをかきながら、母の見よう見まねで少年は竪琴に話しかけました。母が竪琴をしまう時、いつも何か話しかけているのを少年は見ていたのです。
 「どうして鳴ってくれないの?」
 「……それは、あなたが私の友ではないからです」
 鈴が鳴るような美しい女性の声が、どこからか聞こえてきます。
 返事が返ってくると思っていなかった少年はびっくり仰天。思わず竪琴を置いたまま、その場から全速力で逃げてしまいます。
 後ろめたさと恐れから、その後少年が母の竪琴に触れることはありませんでした。

 しかしそれからしばらくして、少年の母が病気になりました。
 美しかった歌声も弱々しくなり、次第に竪琴も弾けなくなってしまいました。
 そんなある日、少年は母から竪琴を譲ると言われます。
 数年ぶりに触れたその竪琴にはよく見ると長い年月を感じさせる細かい傷がありましたが、綺麗に磨かれており大事にされてきたことが感じられました。
 「私にはもうこの子を歌わせてあげられないから……どうか、大事にしてあげてね」
 弱々しく笑う母を見て、少年は大きく頷きます。
 竪琴を譲ったことで心残りがなくなったのか、その後少しして彼女は息を引き取りました。

 形見として竪琴をもらったことが後押しとなり、少年は竪琴弾きになることを決めました。
 しかし形見の竪琴に恐れを抱いていた少年は、それを大事にしまってしまいます。
 自分がいつか母のようになれたら弾いてみよう。
 そう心に決めた彼は母の友人の竪琴弾きに連絡を取り、一心不乱に竪琴の修業を始めました。

 それから数年後。
 少年は凛々しい青年になり、一人前の竪琴弾きとして認められるようになります。
 自分の技術はきっと母に追いついただろう。
 そう思った彼は数年ぶりに実家に帰ってきて、大事にしまってあった母の竪琴を取り出しました。
 竪琴を一通り磨き、愛おしむようにそっと弦に触れます。
 しかし。
 「……鳴らない」
 彼はとてもショックを受けました。数年放置していたことで壊れてしまったのかと竪琴を眺めますが、これと言って異常は見当たりません。
 「なんでだよ……」
 落胆して呟くと、いつぞやの声が答えます。
 「それは、あなたが私の友ではないからです」
 確かに彼は、かつてこの竪琴の友であった彼の母親とは別の人間です。しかし、だからと言って彼のことを拒むのにはどうしても納得がいきません。
 青年は持ちうる全ての技術を動員して竪琴を鳴らそうと試みますが、いくら力を込めたところでうんともすんとも言いません。
 丸一日竪琴と格闘しても、竪琴は全く鳴る気配を見せませんでした。
 「一体何が足りないんだろう」
 青年はもやもやとすっきりしないまま、疲れて眠りにつきました。

 翌朝、青年は聞き覚えのない歌声に目を覚ましました。
 村の広場の方から聞こえてくるその歌は聞いたことのない訛りで、どうやら民族音楽のようです。
 かつての母に似たその歌声に青年はいてもたってもいられず、身だしなみを整えるのもそこそこに家を飛び出しました。
 広場で歌っていたのは一人の女性でした。その肩には小鳥が一羽乗っており、女性の歌と竪琴に合わせてさえずっています。
 女性は走ってきた彼に気が付くと、歌うのをやめてばつが悪そうに笑いました。
 「起こしてしまいましたか?」
 「えっと……」
 自分がなぜこんなにも急いでやってきたのかがわからなくて、青年は口ごもります。
 「綺麗な、歌だなって、思って」
 息を整えつつ辛うじて言うと、女性の笑顔が輝きました。
 「本当ですか? ありがとうございます!」
 肩にいる小鳥も彼女に合わせて嬉しそうに鳴きます。
 「旅の方ですよね?」
 青年が尋ねると、女性は人当りのよい笑顔を浮かべて答えます。
 「ええ、南の方から来ました。こちらはまだ肌寒いんですね」
 驚きました、と言いながら彼女は苦笑いをします。それに合わせて小鳥も非難がましく鋭く鳴きました。
 「あの、その鳥は?」
 あまりにも息がぴったりだったので、彼女が飼っているのだろうかと思いつつ問いかけます。
 「この子ですか? さっき出会ったんです。歌っていたら来てくれて」
 愛おしむようにそっと小鳥をなでながら彼女は答えます。
 青年はぎょっとしました。自分が歌っている時にそんなことがあった試しはなかったためです。
 「そんなことって、あるんですか」
 「え、よくありませんか?」
 彼女のきょとんとした表情に、青年は激しく動揺しました。この人は自分にはない何かを持っている。青年は直感的にそう思いました。
 「あの、もう一度、歌ってみせてくれませんか?」
 青年の頼みに女性は嬉しそうに笑って答えました。
 「喜んで」

 女性は優しげに歌を歌い始めます。南方の民謡だからでしょうか、柔らかくのびのびとしていて心が温まります。まだこの地域には訪れていない春が、一足先に来たようでした。
 女性が歌う様子は、青年の母が歌う様子とうり二つでした。小鳥も彼女の奏でる音に合いの手を入れていますし、先程は気づきませんでしたが、女性の歌の抑揚に合わせて木々も葉を揺らしているようです。
 しかしどうやら女性の竪琴の技術自体は、青年とそう変わらなさそうです。一体何が違うのか、青年にはますますわからなくなってしまいました。
 「どうかしましたか?」
 女性が心配そうに青年の顔を伺います。青年は、自分でも気づかないうちに涙を流していたのでした。
 「すみません。母のことを思い出してしまって」
 涙をぬぐいながら、青年はふとあの鳴らない竪琴のことを思い出しました。この人ならあの竪琴を弾ける気がしたのです。
 「あの、貴女にお願いがあるのですが……」
 そうして青年は女性に事情をかいつまんで説明し、鳴らない竪琴を弾いてみてほしいと頼みました。

 青年が持ってきた竪琴を一目見て、女性は感動で大きなため息をつきました。
 「なんて素晴らしい竪琴でしょう!」
 なんとその竪琴は、とても大事にされてきたがために魂の欠片が宿っているというのです。確かに声を聞いたことがあると言うと、女性はうっとりして言いました。
 「そんな体験、なかなかできないことですよ」
 そして赤ん坊を抱くかのように優しく竪琴を受け取ると、女性は竪琴に向かって何か囁きました。その様子は、またしても彼の母にそっくりでした。
 そっと彼女の手が竪琴の弦に触れた瞬間、透き通った音色が弾けました。青年がその音色を耳にしたのは実に数年ぶりです。
 予期していたにしても、やはり自分にはできなかったことをこうも簡単にされると複雑な気持ちになるものです。青年は悔しさを押し殺して女性に尋ねました。
 「さっき、何を囁いたんですか?」
 「ああ、大したことじゃないですよ。自己紹介と、よろしくお願いしますと挨拶しただけです」
 挨拶。予想外の言葉に青年は困惑しました。
 「そうなんですか……僕にはその竪琴が弾けませんでした。その理由は、何だと思いますか?」
 技術が変わらないならばきっと気持ちが違うのだろう。青年はそう思ったのですが、その質問に女性は眉をひそめて考え込んでしまいました。
 「僕は、その理由は心にあるのだと思うのですが……貴女は普段、何を思って歌っていらっしゃいますか?」
 「うーん、そうですね……私、そんな大層なことは考えていないですよ」
困ったように笑いながら、女性は続けます。
 「意識しているといえば、自分が歌いたいように歌うだけではなくて、周りを気にするようにしているくらいでしょうか」
 周り? 疑問が顔に出たのでしょう。女性は補足しました。
 「例えば、さっきはこの子や木々の囁きに耳を傾けていましたかね」
 肩の小鳥を見やって女性は笑いました。無意識で調和していたのではなかったのだと知って驚きます。彼女が歌う様はとても自然体で、難しいことをしているようには見えなかったのですが。
 「歌いたいのは、自分だけではありませんからねえ」
 女性が何気なく言ったその言葉が、青年には何だかとても重要なことのように感じられたのでした。
 青年は女性にお礼を言い、しばらく村に滞在するという彼女を村の宿屋に案内しました。
 「今度ぜひ一緒に歌いましょう」
 女性の誘いに、青年は嬉しくなりました。

 周りを気にして歌うということをやったことのない青年にとって、それはとても難しいことでした。しかし努力しているうちに少しずつ、気まぐれな小鳥たちや木々の囁きを聞き取れるようになってきました。そして次第に彼らの癖や傾向もわかるようになってきたのです。
 歌いたいのは自分だけではないという女性の言葉がよくわかりました。みんな、一緒に歌う人を待っているのです。
 そうこうしているうちに、楽器を響かせようとするあまりに、力づくで弾こうとしていた自分に気が付きました。
 ああ、もしかしたら自分はとんでもない間違いをしていたのかもしれないと青年は思いました。
 あの竪琴も、一緒に歌ってくれる『友』を待っていたのではないでしょうか。
 恐る恐る竪琴を手に取り、問いかけました。
 「一緒に、歌ってくれませんか?」
 声が震えました。
 「……喜んで。私の友よ」
 竪琴に表情があるなら、優しく微笑んでいるに違いない、穏やかな声でした。


 そうしてその日から、彼の村には音楽が絶えることはありませんでした。

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